ご挨拶

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ご挨拶

会長 藤原 亜紀の写真です

日本ペインクリニック学会
第6回関西支部学術集会
会長 藤原 亜紀
(奈良県立医科大学 麻酔科)

このたび、日本ペインクリニック学会第6回関西支部学術集会を2025年9月27日(土)に「Glocalization of pain management」をテーマに掲げ、大阪国際交流センターで開催することになりました。第6回学術集会の大会長を務めさせて頂きます奈良県立医科大学麻酔科の藤原亜紀です。このような機会を与えて頂き大変光栄です。

近年、エビデンスに基づき患者に最良の治療を選択するEBM(evidence based medicine)が普及し、ペインクリニック領域でもEBMが適応されています。しかしエビデンスだけでは実臨床では不十分です。理由は、エビデンスの多くはRandomized controlled study (RCT)の結果から導き出されており、RCTでは交絡因子を少なくするために、限られた年代の限られた合併症をもつ、限られた患者しか対象としていないからです。80歳以上の高齢者が含まれない研究も多くあります。つまり、その結果は限られた範囲の患者にしか通用しないのです。実臨床では、患者は多様であり、同じ年齢であっても体格や合併症、血圧の高さ、生活習慣、性格など1人として同じ人はいません。つまり個々に合わせた治療選択が必要となるのです。

Glocalizationとは、”globalization(地球規模で全世界的な)“と”localization (限定的な地域や地方)”を合わせた造語で、1980年代に海外市場に進出した日本企業が販売戦略として使い始めた和製英語です。具体例として、ハンバーガーショップの日本の店舗におけるテリヤキバーガーが挙げられます。「地球規模で考え、足元から行動せよ (Think globally, act locally)」という概念で表されます。この考えは痛みの治療にも通じます。世界基準を意識してガイドラインで推奨される治療や新しい治療に常にアンテナを張りながらも、やはり目の前の患者のニーズに応えられる治療を第一に選択すべきです。

本学術集会では、臨床経験豊かな先生方にガイドラインや最新の知見をもとにしたglobalな話とそれを実際の患者に適用するlocalな話を合わせてご講演頂きます。皆様の明日からの診療に役立つと確信しております。どうぞ楽しく実りある1日をお過ごしください。